薬の正しい飲み方 5つの『正』

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みなさんは普段薬を飲むときに、正しい飲み方を意識していますか?

本来は、薬剤師が皆さんにお薬をお渡しするときにしっかり確認するべきなのですが、この5種類を全て話していると、とてもじゃないですが業務が回りません(^^;)
それに、薬剤師の話を聞いている皆さんも、「そんなの知ってるわ!」って思いますよね。

皆が当然のように知っていると思われがちな、『薬の正しい飲み方』なのですが、意外なところで目からウロコな話が出てくるかもしれません。いや、おそらく出てくるでしょう!

ということで、今回は意外と知らない薬の基本的な知識、『薬の正しい飲み方』の5項目を一緒にチェックしていきましょう!

正しい《タイミング》

さて皆さん、飲み薬を処方されたとき、「1日数回適当に飲んでくださいね~」なんて言われたことはありますか?
多くの場合、「1日1回朝食後」とか、「1日3回毎食前」など、飲むタイミングを指定されると思います。

薬の効果を最大限に発揮するためには、薬を飲むタイミングは大切です!
服用タイミングには、
①食事の前後のどのタイミングか?
②1日のうちどのタイミングか?
の2つのタイミングによって分けられます!

食事の前後どのタイミングか?

薬を飲むときは食事の前後を意識する必要があります。
食前、食後、食間の3つに関して厚生労働省と日本薬剤師会が作成した図を参考にしてみましょう!

「知っておきたい薬の知識」より抜粋 (令和3年10月 厚生労働省・日本薬剤師会作成)

ちなみに、
食直後は食べ終わった直後から5分以内、(個人的には、「ごちそうさまでした」と言った直後がオススメ!)
食直前は食事の5分前から食べる直前、(個人的には「いただきます」と言った直後がオススメ!)
と考えておきましょう!

薬を飲むタイミングに『食後』が多い理由はご存じですか?
実は一番の理由は、最も忘れにくいから、なんです!
「ご飯を食べていないけど、薬を飲んでも大丈夫かな?」なんて思ったときは、是非かかりつけの薬剤師に相談してみてください!
食後でなくても良い薬か、食後でなければいけない薬か、きっと教えてくれますよ(^_^)

1日のうちのどのタイミングか?

1日のタイミングに関しては、
起床時、朝、昼、夕(夜)、就寝前、の主に5つのタイミングに分かれます。

薬は種類によって効果が発現するまでの時間や持続時間が異なるため、いつ飲むかは非常に重要になります。薬によっては、タイミングが異なると副作用の原因になったり、効果が十分に発揮できなくなる可能性があります。

特に意識して欲しいのは就寝前の薬です。先ほどの図で、就寝する約30分前という記載がありましたが、睡眠薬などは寝る直前に服用するべき種類も多く存在します。逆にあまりシビアに考えなくても良い薬もあるので、不安に思った方は是非一度、かかりつけ薬剤師に相談してみくださいね。

正しい《量》

薬を飲むときは、「1回〇錠飲んでくさい」という指示があるはずです。
この指示を守らないと、どのようなことが起きるのでしょうか?

多く飲んだ場合

薬を飲んでいて、「痛みが辛いから、倍の量を飲もう!」とか、「早く風邪を治したいから、1日3回ではなくて4回飲んじゃえ!」など、一度は考えたことはないでしょうか?

結論から言いますと、これは絶対にやめましょう。

薬は、それぞれに応じた量を服用することで、効果を最大限に、かつ、副作用を最小限にする設計になっています。
医師から指定された量を超えて服用した場合、効果は頭打ちで、副作用のリスクだけ高くなる可能性が非常に高いです。

少なく飲んだ場合

薬を飲んでいて、「今日は血圧が低いから薬を少なく飲もう!」とか、「副作用が怖いから薬を半分にして飲んじゃえ!」など、一度は考えたことはありませんか?

結論から言いますと、これも絶対にやめましょう。

薬の量を減らすと、確かに副作用のリスクは減るかもしれませんが、効果も十分に得られなくなってしまいます。
結果として、本来よりも多くの薬を飲むことになったり、長期間薬を服用することになったりして、逆に副作用リスクにさらされる可能性もあります。

副作用に対する不安がある場合は、その対策方法について、予め医師や薬剤師に確認しておきましょう!

正しい《方法》

薬を飲むときは、「多めの水または白湯で飲みましょう。」と言われたことはありませんか?
水の量が少なかったり、水以外で飲むことのリスクを考えましょう!

水で飲む理由

薬を飲むときは、原則水で飲みましょう!

水は、HOという、とてもシンプルな構造式になります。
薬と化学反応を起こすことはないですし、pHも7.0で薬へ影響を及ぼすことは考えにくいです。

難しいことを書きましたが、簡単に言うと水で飲むことが間違いないってことですね。

水の量を多めに飲む理由

薬は、胃に到達したのち、消化管の運動で小腸に送り込まれ、吸収されます。つまり、今で薬を水で流し込まないと効果は発揮されません。

少量の水で上手に飲まれる方がいらっしゃいますが、口の中になくても実は食道で引っかかっていて、胃まで到達していないという可能性があります。
これは、薬が効果が無いだけではなく、場合によって食道炎などの副作用リスクもあるので、やはり水は多めにしておくことが良いでしょう。

薬剤師さん
薬剤師さん

私の経験で、朝起きて咳をしたら、前日に服用した薬が出てきたという患者さんもいました。

薬が飲みづらいときにやってはいけないこと

薬が飲みづらいときにやってはいけないことが2つあります。

『上を向いて飲む』ことと、『砕いて飲む』ことです。

上を向いて飲むというのは、一見飲みやすそうに感じる方も多いようですが、実は気道確保の姿勢になります。
そのため、誤嚥のリスクが高まるのでお勧めできません。

薬を砕くという行為は、場合によっての効果がなくなったり、副作用が出やすくなったりします。
どうしても錠剤やカプセルが飲みにくい場合は、一度かかりつけ薬剤師に相談してみてくださいね。ちなみに、過去にこんな記事も書いたので参考までに載せておきます。

正しい《期間》

薬をもらったときに、処方された日数をしっかり飲んでいますか?
実はこの処方日数も大切だったりします。

ここでは、服用期間を2つに分けて考えてみたいと思います。

飲み続けることを前提とした薬

高血圧や糖尿病、脂質代謝異常症など、いわゆる生活習慣病と呼ばれる症状に対する薬は、基本的には飲み続けることが前提となります。

なぜなら、薬を飲むことで、血圧・血糖・コレステロールの値が下がっているだけで、治ったわけではないからです。

状況によっては、減量や中止などもあり得ますが、それは医師の判断が絶対です。薬を飲み始めて調子が良くなって、自己判断で薬をやめてしまうなんてことはしないで下さいね。

一定期間で中止することを前提とした薬

いわゆる風邪や胃腸の不調など、一時的な体調悪化に対する薬は、基本的には一定の日数で薬を中止することが前提となります。

予防のために薬を続けるようなケースもありますが、基本的に薬を飲み続けることによるメリットよりも、デメリットの方が多くなるため、症状が改善したら中止になります。

典型的なものとして、抗生物質が挙げられます。
抗生物質は、風邪の原因菌だけではなく、体内にある善玉菌もやっつけてしまいます。また、長期間の服用は耐性菌(抗生物質の効かない菌)を発生させる確立を挙げてしまいます。
詳しくは、過去にこんな記事も書いたので参考にしてみてください。

正しい《飲み合わせ》

薬を飲むうえで、絶対に考える必要があるのが飲み合わせです。

薬は一つだけでは問題なくても、組み合わせによって効果が無くなったり、副作用のリスクが高くなったりすることがあります。

食べ物や飲み物との飲み合わせ

薬と飲食物との飲み合わせは、いくつか有名なものがあります。
今回も、厚生労働省と日本薬剤師会が作成した図を参考にしてみましょう!

「知っておきたい薬の知識」より抜粋 (令和3年10月 厚生労働省・日本薬剤師会作成)

グレープフルーツは、血圧の薬全てという訳ではないですし、血圧の薬以外でも注意が必要な薬があります。さらに、ジュースでも注意が必要になります。グレープフルールが好きな方は、かかりつけ薬剤師に相談しておくと良いでしょう。

他の薬やサプリメントとの飲み合わせ

薬と薬の飲み合わせは非常に大切です。
私たち薬剤師は「相互作用」と呼んでいますが、この相互作用に注意が必要な薬の組み合わせは無数に存在します。

これを防ぐために、皆さんがやるべきことは、お薬手帳を使用することです。

お薬手帳は、
①複数の医療機関を受診していても1冊にまとめておく
②薬の内容が変わっていなくても最新情報に更新するために必ず記録してもらう
③処方薬以外にも、市販薬やサプリメントについても記載しておく
ことで、有効活用することができます。

薬剤師さん
薬剤師さん

薬局で仕事をしていると、年に数回ほど禁忌(併用してはいけない)の組み合わせに遭遇します。割合にすれば、0.1%にもなりませんが、0%ではありません。
お薬手帳は必ず持参してチェックしてもらいましょう!

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