国民の2人に1人が罹患していると言われている花粉症。
私も20代で花粉症デビューとなり、もう長い付き合いです。皆さんの周りにも、春先から鼻水や目のかゆみなど辛そうにしている方は多いのではないのでしょうか?
今回はそんな、国民病とも言える花粉症について解説していきたいと思います!
花粉症の症状
花粉症の主な症状は、鼻の3症候(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)に追加して、目の痒み・充血・涙目などを伴うことが多いです。
鼻症状だけでなく、目の症状も出てくるようであれば、花粉症の可能性が高いと言えるでしょう。
この他にも、人によっては頭痛、皮膚の痒み、喉の不快感、咳や痰、微熱、胃腸障害などなど、体全体に症状が現れます。
このように様々な症状を引き起こす花粉症は、重症化すると著しくQOL(生活の質)を下げると言われている。とある研究では、糖尿病や骨折以上との報告もあります。
また、重症化していなくても、仕事や勉強、家事などの作業効率を下げることが指摘されています。パナソニック株式会社の調査では、「花粉症による経済損失額は1日あたりで約2340億円」という衝撃的な結果も発表されました。
これらは、報告の一部ではありますが、花粉症を放置することは好ましくないということは間違いなさそうですね(^^;)
花粉症の重症度チェック
一体どれくらい症状があったら受診をした方が良いのでしょうか?
この判断はなかなか難しいところがありますが、一つの指標として「アレルギー性鼻炎症状の重要度分類」が参考になるかと思います。(下図参照)
私の意見も含めて、受診の目安としては、重症以上であれば確実にすぐに受診を、中等症であれば早めに一度受診することをオススメします。
参考までに、それぞれの症状の目安も記載しておきますね!
【重症】
くしゃみの回数 1日平均で11~20回
鼻水をかむ回数 1日平均で11~20回
鼻詰まりの程度 非常に強い。口呼吸が1日のうち、かなりの時間ある。
※この中のいずれかが該当すれば重症。連続したくしゃみは1回でカウントする。
【中等症】
くしゃみの回数 1日平均で6~10回
鼻水をかむ回数 1日平均で6~10回
鼻詰まりの程度 強い。口呼吸が1日のうち、ときどきある。
※この中のいずれかが該当すれば中等症。連続したくしゃみは1回でカウントする。
市販の花粉症治療薬
市販されている薬の中で、花粉症の治療に使える薬はたくさんあります!
これはとても便利な反面、何をどう選んだらよいかわからない方も多いかと思います。
そんな時にために、薬剤師がいます。是非薬剤師に相談の上、購入してください。
ここでは、市販薬について分類ごとにザックリと解説しますが、購入するときは必ず薬剤師や登録販売者の説明と聞いてくださいね。
抗ヒスタミン薬
いわゆるアレルギー薬で、花粉症治療で最も基本となる薬です。
抗ヒスタミン薬は、眠気の副作用も出やすい第一世代と比較的眠気の副作用が少ない第二世代に分かれます。
第一世代
古くから使われている薬で、鼻水やくしゃみに対しては効果が強いと言えます。(ただし、鼻づまりに対しては、あまり効果は期待できません。)
その反面、眠気や口の渇きなどの副作用がでやすく、緑内障や前立腺肥大の症状を悪化させるリスクがあるなど、使い方には十分な注意が必要となります。
市販薬に使用されている主な成分としては、
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・カルビノキサミンマレイン酸塩
・クレマスチンフマル酸
・ジフェニルピラリン酸
などがあります。
これらの成分は風邪薬などにも含まれていることがあります。
第二世代
第一世代で問題となっていた眠気や口に渇きなどの副作用を軽減したタイプです。効果の持続時間が長いタイプも多く、1日の服用回数が少ない傾向にあります。
また、治療効果も十分で、特に第一世代に効果が薄かった鼻づまりにも一定程度効果が期待できます。
これらの成分が治療の花粉症治療の基本になります。
市販薬に使用されている主な成分としては、
・メキタジン
・ケトチフェンフマル酸塩
・アゼラスチン塩酸塩
・エバスチン
・セチリジン
・エピナスチン塩酸塩
・セチリジン塩酸塩
・ロラタジン
・フェキソフェナジン塩酸塩
などがあります。
上記の成分の中でも、それぞれ特徴があります。私がオススメする3つ成分を紹介しますね。
フェキソフェナジン塩酸塩‥最も眠気が出にくい。効果はややマイルド。1日2回服用。
ロラタジン‥作用時間が長いため、1日1回の服用でOK。眠気が出にくく、フェキソフェナジンよりも強い。
エピナスチン塩酸塩‥3種類の中で効果が強い。眠気には注意が必要。1日1回服用。
それぞれの成分に色々な特徴がありますが、実際には個人差があります。
薬剤師などの専門職と相談しながら、皆さんに最も合った薬をみつけましょう!
点鼻薬
単独で使用するだけでなく、飲み薬と併用することもできます。
点鼻薬には、大きく分けると抗アレルギー薬、ステロイド薬、血管収縮剤の3種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。
この中では、ステロイド薬が第一選択となってきます。
抗アレルギー薬
飲み薬の抗ヒスタミン薬が使われている点鼻薬です。
くしゃみや鼻水に有効ですが、鼻づまりにはあまり効果は期待できません。飲み薬と比べると眠気がでにくいので、内服薬や他の点鼻薬が使いにくいケースに使用されます。
個人的には、飲み薬で問題なければ、敢えて点鼻の抗アレルギー薬タイプを使う必要はないと思います。
市販されている点鼻薬に使用される抗アレルギー薬には、
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・ケトチフェンフマル酸塩
の2種類があります。
ステロイド薬
ステロイドというと危険性が高いように思われるかと思いますが、局所的に使用する場合は全身の副作用は非常に少ないとされています。使い始めて数日で効果が出てくるので、すぐに効果を感じなくてもしっかり続けましょう。
個人的には、飲み薬による眠気の副作用を避けたい方や、内服薬だけでは効果が足りない方にお勧めです。
市販されている点鼻薬に使用されているステロイドには、
・ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
・プレドニゾロン
・フルニソリニド
の3種類があります。
血管収縮剤
市販薬の中で、鼻づまりに対して最も効果が強い&速い薬と言われています。
これだけ聞くと、皆さん使いたくなるかと思いますが、この成分には重要な注意点があります!
繰り返し使用すると、鼻詰まりは改善せず、むしろ薬剤性鼻炎という鼻詰まりが悪化した状態になってしまいます。鼻アレルギー診療ガイドラインでは、鼻づまりが極端にひどいときに限り、1~2週間を目安に使用するよう記載があります。不用意に使いすぎることは絶対に避けましょう!
個人的には、花粉症が本当に辛い時期だけ一時的に使用して、基本的には使用しない方が良いと考えております。症状がどうしてもつらい場合は、受診を優先することをオススメします。
市販されている点鼻薬に使用されている血管収縮剤には、
・オキシメタゾリン塩酸塩
・テトラヒドロゾリン塩酸塩
・ナファゾリン塩酸塩
などがあります。
点眼薬
点眼薬は、基本的に単剤(主成分が一つ)ではなく、複数の成分が配合されていることが多いのが特徴です。花粉症の患者さんに対しては、ずばりこの3成分が入っているものをオススメします!
『クロルフェニラミン+クロモグリク酸ナトリウム+プラノプロフェン』
それぞれ、抗ヒスタミン薬+抗アレルギー薬+抗炎症薬の組み合わせであり、花粉症による目の痒みに特化した成分と言えるでしょう。
また、処方薬と同一成分のものを選びたい場合は、『ケトチフェン』という成分が入っているものがオススメです。
点鼻薬の時にも紹介した血管収縮剤には注意しましょう。
漢方薬
漢方薬は、メインとしては使用されませんが、眠気などの副作用リスクが低いことや、どうしても他の薬が合わないというときに使用されます。
3種類紹介しておりますが、純粋な花粉症だけであれば、小青竜湯が有効でしょう。
漢方薬は副作用がないと思われがちですが、決して「0」ではないので、必ず薬剤師などの専門職に確認しましょう。
なお、漢方薬でしっかり効かせたい場合は、漢方専門の薬局に行くことをオススメします。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
花粉症の症状の中でも、鼻水やくしゃみに有効的。
状況によっては、咳などにも一定程度効果が見られます。
粉と錠剤があるので、飲みやすいものを選んでください。
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
鼻詰まりがひどいときに有効。
比較的体力のある方に使用される。
副鼻腔炎(蓄膿症)のような症状に使用されます。
数日服用しても改善しなければ、必ず病院を受診しましょう。
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
ドロっとした鼻水などに有効。
顔がほてりやすい場合に使用される。
副鼻腔炎(蓄膿症)のような症状に使用されます。
数日服用しても改善しなければ、必ず病院を受診しましょう。
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