乳幼児の風邪に市販薬はあり?

ママさん
ママさん

子供が風邪ひいた時、市販薬で対応するのって、どう思いますか?

薬剤師さん
薬剤師さん

年齢や状況にもよりますが、薬を使った方が良いと思うのであれば、原則として受診をお勧めします。市販薬を使用する際は、そのメリット・デメリットを理解しましょう。薬を使わず様子を見るのもありですよ。

【解説】

皆さん、現在日本で販売されている小児用の市販薬は、何歳から使用できるかご存じですか?

なんと、答えは生後3ヵ月なんです。

もしも、私のもとに、生後3ヵ月のお母さんがやってきて、「子供が飲める市販薬をください」と言われた場合、確実に受診を勧めるでしょう。

医療の世界では、新生児、乳児、幼児、小児を、おおよそ以下のように分類します。
新生児・・・出生後4週間未満
乳児・・・生後4週間以上、1歳未満
幼児・・・1歳以上、7歳未満
小児・・・7歳以上、15歳未満
(余談ですが、飛行機の幼児運賃は2歳未満、小児運賃は2歳以上12歳未満、だそうです。)

今回は、乳幼児のお子さんに市販薬を使うことに対する、一般的な注意点と私の意見をお話させていただきます。

市販の風邪薬は対処療法である

市販の風邪薬は、風邪を治すための薬ではなく、風邪の症状を抑えるための薬になります。いわゆる対処療法ですね。詳しくは、コチラの記事も参考にしてみてください。

乳幼児が風邪をひくというのは日常茶飯事です。私の娘たちも、保育園に入園した最初の1年なんかはずっと鼻水を垂らしていました(^^;

乳幼児のうちは、本当に辛い症状であれば、市販薬などは使用せずに病院を受診するべきです。また、そこまで辛くないのであれば、市販薬を飲まずに様子をみるのも選択肢の一つでしょう。自己免疫を高めたり、体力をつけるために、食事や睡眠などの生活習慣に気を遣うほうが良いかと思います。

ちなみに、いわゆる風邪症候群の場合は、ウィルス感染が多く、抗生物質(抗菌薬)を必要としないことがほとんどです。『風邪=抗生物質』ではないことは、頭に入れておきましょう。詳しくは、コチラを参照してみてください。

重篤な疾患を見落とすリスクがある

市販薬を服用するということは、医師の診断なしに、子供が何の疾患が分からない状態で対処療法を行うことになります。万が一、病院で専門的な治療が必要な疾患であったときに、市販薬を服用することで発見が遅れるということが起こりえます。

市販薬の安易な使用はこのようなリスクをはらんでいることを覚えておきましょう。また、市販薬で効果があったからといって、長期間使用するということは避けましょう

乳幼児は自分の症状を正確に伝えることが難しいということも注意しておきましょう。
市販薬を販売する際、私たち薬剤師は、「どんな症状か?いつからか?どの程度か?随伴症状はあるか?憎悪因子はあるか?、、、」などを確認します。きちんと聞き取りができない状態で販売は難しいです。このような場合は正確な診断をしてもらえるよう、病院を受診する方が良いでしょう。

2歳児未満の乳幼児には医師の診療を優先する

乳幼児に市販薬を使用するデメリットについて説明してきましたが、国の規制はどうなっているのでしょうか?

厚生労働省は、2010年に、「2歳未満の乳幼児には医師の診療を優先し、やむをえない場合のみ服用させてください。15歳未満の小児では保護者の指導監視のもとに服用させてください」と注意喚起がなされております。このことはしっかり覚えておきましょう。

参考までに、諸外国での対応もザックリとご紹介しておきます。

カナダ、イギリス、オーストラリアでは、6歳未満の小児に対して、市販薬は使用不可としています。また、アメリカは2歳未満を使用不可としており、4歳未満への使用は自主規制、としているようです。

諸外国の制度をそのまま適応させることが正しいわけではありません。一つの参考資料としてご覧いただければと思います。

ということで、市販薬を使う場合は、そのデメリットをきちんと理解したうえで、皆さんのことを真摯に考えてくれる薬剤師や登録販売者のもとで購入を検討することをオススメします。

コメント