総合感冒薬の使い方

市販薬

市販の風邪薬を買うときは、いろんな成分が入ったものが良いですか?

薬剤師さん
薬剤師さん

いろんな成分が入ったものよりも、自分の症状にあった成分が入っている薬を選んでもらうのが良いでしょう。
予備として家においておくものとして、いろんな成分の入った総合感冒薬は選択肢の一つです。

【解説】

市販の風邪薬の種類は非常に多く、何を選んだら良いか悩まれる方も少なくないでしょう。

風邪をひいたときの症状にはどんなものがあるでしょうか?咳、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、痰、発熱、頭痛、のどの痛み、などがあるかと思いますが、これらのうちのほとんど、もしくは全ての症状を網羅する医薬品を総合感冒薬と表現します。

総合感冒薬の特徴は、風邪症状全般に有効な成分が配合されていることです。これはメリットにもデメリットにもなります。

ざっくりとまとめてみましょう!

  • 薬を選ぶときに、とりあえずで購入しやすい。
  • 複数の有効成分が配合されているので、個別に買うよりもお得。
  • 薬が1種類で済むので管理が楽。
  • 今の自分の症状に本当に適しているかわからない。
  • 有効成分の種類が多い分、副作用のリスクが高くなる。
  • 有効成分による判断が難しくなり、雰囲気で購入してしまう可能性が高くなる。

いわゆる市販の風邪薬は対処療法として使用されるので、今ある不快な症状を緩和するために服用します。ということは、咳が気になるなら咳を抑える薬を、喉の痛みが気になるなら喉の痛みを抑える薬を飲むことが推奨されます。
咳が出ないのに咳止めを飲んでも意味がないですし、副作用のリスクだけ上がってしまいますよね。

試しに、実際に販売されている、とある総合感冒薬の成分を見てみたいと思います。

有効成分を解説すると以下のようになります。

・イブプロフェン・・・解熱鎮痛剤。心臓病や腎機能障害がある方は注意。胃に負担がかかる成分なので、食後に服用が望ましい。
・クレマスチンフマル酸塩・・・アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬。眠気に注意。鼻水やくしゃみに効果的。緑内障や排尿障害がある方には、使用できないケースもある。
・ジヒドロコデインリン酸塩・・・咳止め。眠気や便秘、嘔気などに注意。12歳未満の小児には使用しない。
・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・・・気管支拡張剤。気管を拡げることで、呼吸を楽にしたり、咳を鎮めたりします。交感神経が活発になるので、甲状腺機能亢進症や高血圧の患者さん等は注意が必要。
・ブロムヘキシン塩酸塩・・・去痰剤。痰をきりやすくする。安全性は高い。
・トラネキサム酸・・・炎症を抑える薬。喉の不調に用いられるが、痛み止めではない。安全性は高い。
・チアミン硝化物、リボフラビン・・・ビタミンB1とB2。体力消耗時のビタミン補給目的。即効性はない。
・無水カフェイン・・・眠気や倦怠感の軽減、頭痛の改善が目的。栄養ドリンクやコーヒー類などの併用によるカフェイン中毒に注意が必要。

カフェインは身近な食品・飲料や医薬品・医薬部外品に含まれています。コーヒーやコーラ、エナジードリンク、滋養強壮剤、頭痛薬など、気づかぬうちに摂取しているケースもあるでしょう。
摂取上限は特に決められていませんが、世界的に見て、1日量は400mgは超えないにしておくと良いでしょう。ただし、かなり個人差が大きいので注意してください。カフェイン中毒の主な症状は、めまい、動悸、興奮、不安、震え、下痢、嘔吐などがあります。

いかかですか?
これだけの内容を、購入者の皆さんがそれぞれ把握することは困難を極めます。実際には、成分量も判断基準になってきますからね。

もしも体調不良があったときは、自分でどの薬にするか判断するよりも、きちんと薬剤師に相談することをオススメします。

とは言え、体調不良になったときのために、あらかじめ風邪薬を備蓄しておきたいという意見もあるかと思います。その時に、様々な薬を用意しておくよりは、風邪薬を一つ用意しておくという方が管理も楽でしょう。
実際、私も必要な人には、常備薬として総合感冒薬を販売します。多少余計な成分を服用したとしても、多くの方は危険な副作用が現れる可能性が低いからです。

ただし、以下のチェック項目に該当するものが一つでもあった場合、私としては、安易な総合感冒薬の服用はオススメしません

□ 現在治療中の病気がある
□ 薬を飲んで副作用が出たことがある
□ 現在服用している薬がある
□ 後期高齢者(75歳以上)、または小児(15歳未満)
□ 体調不良が1週間以上続いている
□ 総合感冒薬を3日以上
続けて服用している

総合感冒薬は、あらゆる症状に有効であるという便利さの反面、副作用などのリスクを伴います。
今回の記事を参考に、あなたが信頼する薬剤師などの有資格者と相談しながら購入いただけると幸いです。

最後におまけのコラムです。

近年、風邪薬などの市販薬による薬物乱用が問題になっています。実は、今回紹介した成分の一つ、ジヒドロコデインも依存を引き起こすリスクのある薬の一つです。
通常の服用量では問題ありませんが、効果を過度に期待して、通常量を超えた量を服用することは絶対に避けましょう!
簡単に手に入る風邪薬ですが、それゆえに注意が必要です。是非覚えておいてください。

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